線画を描く
下地を塗る
色相・彩度で色調整。レイヤーを新しく作らないなら「イメージ」から行けば良い。
単純に色を濃くするだけなら、レイヤーを複製することでも実現可能。
レイヤーには色々な種類があって、単純に通常モードで上塗りするよりも見栄えが良くなるモードが探せばある。
下色を塗る。色が気に入らなければ「色の置き換え」を使ってその色だけをピンポイントで変えることが出来る。
「スケ感」を出すととたんに立体性が現れてくる。スケ感を出すためには、一度濃く塗ってから(ここが大事)薄い色を上から塗布する。これによって最初に塗った下地が「下に透ける」ことでスケ感が出る。最初に下地を濃く塗るのがミソ。ここで薄くしか塗らないとスケ感が出ないので全体的にぼんやりとした印象になってしまう。複雑な濃淡を作るためにはスケ感を利用しないとならないから、これは必須技術と行っていいのではないか。
複雑な濃淡を表現するためには、まず全体の方向性を定める下地をおいて、その上で凸を作るための明るい色を置く。上から色を置くときに気をつけるのは、下地の方向性が消えないようにすること。
下地はチマチマ描かないで、大きな面積で描く。
リアルな物体の表面は数学的な、きれいな立体ではなく、表面には複雑な形状がある。それを表現するのがリアリティのある絵を描くために大切。
この描き方にする利点はもう一つあって、それは直線的に描くことができるという点。ストロークを何回もやり直してグラデーションを作るのではなく、極限的にはたった2回のストロークで深みを表現することが可能。何度もストロークを重ねて作った陰影よりも、シンプルな面取りで作った曲面のほうが美しい。
細部が美しい必要がある。
この「複雑な陰影」について、あまり突っ込んだ議論がされないように思えるが、美しい陰影を作る上で、これが一番重要ではないかと思う。陰影はただ色をドバっと塗ることはではなく、同じ面に対しても非常に複雑な様相を呈する現実を写すものではなくてはいけない。この複雑性の問題を解決することが初級者と中級者を分ける線だと思われる。
この動画も、最初に陰影をつけているが、これは単純に塗っているわけではなくて、この複雑性の問題を上手く解決しながら色を塗っている。否、塗るというより重ねているという考え方のほうが正しい気がする。
「ね、簡単でしょ?」といった感じで最初のステップを進めているが、ここですでに非常に複雑な問題を解いているわけで、簡単には真似できない。
複雑性問題を解く最強の方法論、スケ感を作る重ね塗りの技術を使えば、何でも描ける気がする。あとはこの方法論の完成度を高めてゆこう。
絵描きが直面する問題:
- 複雑性問題
- 階層性問題
- 全体性問題
- 反射率問題
複雑性問題は、描く対象の立体的複雑性を把握すること。
階層性問題は立体的複雑性を陰影で表現すること。
全体的な配置によって生まれる統一感・魅力。
一日中髪を描いていて思ったのは、髪の立体的構造を上手く表現することが大切だということ。髪はいくつかの塊に分割して考えられるが、それらは単に並進的に並んでいるのではなく、微妙な差異はあって、立体的に独立している。髪を描くときに、この立体的な独立性を残って並列的に描くとリアリティが失われてしまう。髪は単純化して描くものだが、単純感をしすぎないことが大事。それは立体的な関連性を損なわない、空間を感じさせるレベルであることが必要。
スーパーリアリズムのように絵を描く必要はないが、極端な単純化から一歩進んで3つの問題に立ち向かう必要がある。
線画もそうだが、画面の手前・奥行き方向を感じさせる陰影を作るのがリアリティを生み出す重要な要素。例えば髪の光を反射する部分は、並列的に並んでいるのではない。立体性をもって「奥行きで並んでいる」。奥行きを表現する方法としては、断面を重ねるという方法と、陰影の明暗のレベルで表現するという方法がある。明暗のレベルとしては、真っ暗、中間(暗)、中間(明)、ハイライトといった感じ。ハイライトを置くことで空間の奥行きの表現レベルがぐっと上がるため、ハイライトを置くだけでリアリティがこの上なく上昇する。ハイライトは一点をおいているに過ぎないが、それが引き起こすのは奥行きの階層を一つ増やしているという効果である。だからハイライトは一点でも大きな効果を生む。それは中間色のように広い面積で表す奥行きの階層と情報量で言えば同じであるから。
陰影を描く上で上の3つの問題以外にあるのが、質感を再現するという問題。質感は光の反射率で表現される。肌には肌らしい反射率、髪には髪らしい反射率がある。
まとめ
- 複雑性問題を解くことが必要。そのための最強の方法論がスケ感を利用する重ね塗り。
- スケ感重ね塗りを成功させるためには、シンプルなストロークを使う。数が少ないほうが良い。
- 色の使い方をもっと絵全体が明るいムードになるようにする。
いかにして空間を表現するか。良い絵は空間がきちんと表現されている。それは線画のレベルでも、陰影のレベルでも。線画ではどうやっても表現できない奥行きがある。それを陰影が補完する。
空間を表現した上で、次に質感を表現する。空間が十分に表現されていてもなお、質感は変えられる。空間と質感の両方を制すれば、完璧なリアリティが得られる。
- 絵の魅力
- 配置(全体性問題)
- リアリティ
- 空間の表現
- 線画:断面、遠近法
- 陰影:スケ感(陰影の複雑性問題)
- 質感:反射率
- 空間の表現
これらはそれぞれ独立しているわけではなく、それぞれが相互に関連しあっている。
コメント