髪の研究

今まで「髪が描けない髪が描けない」と思っていたけど、「構造を理解していないモノは描けない」という原則で考えると、これまで一度も「髪がどうやって生えているのか」を考えてないで生きてきたことに気がついた。

そこでここで改めて「髪の生え方」を研究すると、面白い発見があったので記録しておく。

髪が生えている範囲
まず前提として押さえておくべきポイントは、髪が生えてくるのは、頭部表面全体の中である一定の範囲に限られているということ。おでこの境界から耳の上を通過し、頭部と首の境界あたりまでである。この範囲からしか髪の毛は生えない。言われてみれば当たり前のことなんだけれども、今までずっとそれを意識しないでいた。

髪の特性
髪はそれ自身がある程度の支持力(=硬さ)を持っている。しかもそれは根元に近づくほど強くなる。同じ太さの糸と比較してこの支持力が大きく異なる点である。したがって、頭皮から生えた髪の毛は緩やかなアーチを描いて下に流れてゆく。もし人間の髪が全て糸で出来ていたら? と想像してみるのはなかなか面白い。
そして、髪の一本一本は長さという要素を持っている。ここで注意すべきなのは、人は床屋や美容室で髪の長さを揃えたりすることである。つまり普通、髪は頭皮全体で同じ長さを持っておらず、人工的に手が加えられた結果、長さが異なっている。

髪型についての層構造理論
髪型は層構造を形成している
ストレートの髪型において表面を構成しているのは、頭頂部から生えた髪である。

逆に頭頂部以外から生えている髪の毛は髪型表面には現れてこない。
それらは2層目、3層目となって髪型全体のボリューム感を作っている。つまり頭頂部から生えた髪は、それら下層によって支えられて髪型の表面を構成している。
この層構造を見るなら、おでこの生え際に注目すると良い。髪が生えている面と生えていない面の境界であるから、ここに一種の断層が形成されていて、層構造を容易に観察する事ができる。

ここまでが髪型全体に関する話で、次に、髪型のミクロについてより詳細な観察を行うことにする。

まず、髪は一本一本が独立していると考えるよりも、それらが適当な大きさの束になったものが、髪型のミクロな構造の最小単位であると考えるのが分かりやすい。これを髪束と呼ぶことにする。髪束は基本的に層構造に沿って流れているが、それらの間に段差が生じているのが普通である。(もし髪束間に段差がなければ、髪型全体は一つの塊となって、「ヘルメット」のようなツルッとした見た目となるから、非常に不自然である。)

髪型によっては、毛先が非常に複雑な構造を見せる事がある。これにはある程度合理的な理由をつける事ができる。頭部というのは頭頂部付近では球形で、髪束はその曲面に沿って規則的に流れている。そこでは綺麗な層構造を見つける事ができる。一方そこから少し降ってゆくと、球面は消えて頭部はストンと下に落ちている。そしてその辺りで髪も生えてこなくなる。したがって毛先では髪を揃えようとする強制力がなくなるため、髪束が「暴れる」ようになる。髪束を結び付けていた力弱くなり、さらに細かい髪束へ分割されたりする。こうなると層構造がかなりグダグダになってしまう。これは断線したケーブルの断面に現れる構造に似ている(同じ様な力学で生じている構造なので当たり前なのだが):

これで髪型の成り立ちについてある程度理解する素地が出来たので、後は個々の髪形についてこれを基に立ち向かってゆくことにする。

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